「お金で幸せは買えるの?」という疑問、誰もが一度は考えたことがあるのではないでしょうか?お金と幸福度の関係については、これまで多くの議論がありました。今回は、科学的な研究データをもとに「お金がどれだけ幸福に影響するのか」を解き明かしていきます!
お金と幸福は関係があるの?
結論から言うと、「お金と幸福には関係がある」。ただし、その関係はシンプルではありません。多くの研究が示すのは、収入が上がると一定レベルまでは幸福度が上昇するものの、収入が一定額を超えるとその効果は頭打ちになる、というものです。
例えば、Boyce et al.(2010)の研究では、収入の絶対額ではなく、収入の「ランク」が幸福度に強く影響を与えることがわかりました。つまり、自分の収入が他の人と比べてどうなのかが重要だということです【Boyce et al., 2010】。
収入が幸福に与える効果には限界がある?
有名な「年収7万5000ドル(約900万円)」の理論は、多くの人に知られています。この理論によると、年収がこのラインまで増えると幸福度も増しますが、それ以上になると幸福度の上昇はほとんど見られなくなるというものです。しかし、Killingsworth et al.(2023)の最新研究では、100,000ドルを超えると、幸福感はさらに増し続けることがわかっています【Killingsworth et al., 2023】。
この研究は「お金が多ければ多いほど幸福も増す」ことを証明している一方で、お金がない状態が幸福感に与える悪影響が強いことも示しています。つまり、お金が少ないときのストレスは幸福を著しく損なうということです。
お金の使い方で幸福度が変わる?
お金をただ稼ぐだけではなく、どのように使うかも幸福度に大きな影響を与えます。Matz et al.(2016)の研究では、お金を自分の性格に合った使い方をすることが、幸福度を高めることがわかりました【Matz et al., 2016】。
例えば、外向的な人は人との交流にお金を使うことが、自分に合った消費となり、より幸せを感じられるのです。反対に、自分の性格に合わない使い方をすると、せっかくの収入も幸福には結びつきにくいというわけです。
他人のためにお金を使うともっと幸せになれる?
意外かもしれませんが、他人にお金を使うことが、自分の幸福感を大きく高めることが証明されています。Dunn et al.(2008)の研究では、自分のためにお金を使うよりも、他人にお金を使う方が幸福度が高くなることが示されています【Dunn et al., 2008】。
たとえば、ボーナスや臨時収入を得た際に、そのお金を他人にプレゼントしたり、チャリティに寄付したりすると、自分自身がより豊かな気持ちになれるというのです。この「他人への贈与効果」は、長期的に見ても自分の幸福を支える重要な要素とされています。
お金で買うべきは「経験」!
また、お金の使い道として「物」よりも「経験」に投資することが、幸福度を高めるための鍵とされています。Dunn et al.(2011)は、お金で物を買うよりも、旅行やコンサートなどの体験に使うことが、長期的に幸福感をもたらすと提案しています【Dunn et al., 2011】。
モノを買うことによる幸福感はすぐに消えてしまう一方で、経験は長く心に残り、後々までその幸福感を引き出すことができるのです。次に大きな買い物をする前に、もう一度考えてみてください。物ではなく、何か新しい体験を手に入れる方が、長期的な満足感につながるかもしれません。
比較は幸福度を下げる要因
「隣の芝生は青く見える」ということわざが示す通り、他人と自分を比較することが幸福感を下げる要因になることは、数々の研究で示されています。Boyce et al.(2017)の研究では、収入の絶対額ではなく、他人と比較した収入の順位が幸福感に影響を与えることがわかっています【Boyce et al., 2017】。
つまり、他人と自分を比較することなく、自分自身に合った生活を追求することが、長期的な幸福感を保つためのポイントになるのです。
結論:お金で幸せは買える、でも使い方が大事!
お金と幸福の関係は一筋縄ではいかないものの、間違いなく関係があります。しかし、その効果は使い方によって大きく変わることがわかっています。経験にお金を使い、他人への贈り物をすることが、最大限の幸福を引き出す方法です。また、他人との比較を避け、自分の性格に合った使い方をすれば、さらにその効果は高まります。
次にお金を使う際には、ちょっとこのことを思い出して、賢く使ってみてくださいね!