SNS(ソーシャルメディア)は今や私たちの生活に欠かせない存在ですが、SNSを使うことで本当に幸せになれるのでしょうか?この記事では、SNSが私たちの幸福感にどのように影響を与えるのか、科学的な研究を基に詳しく見ていきます。
SNSと幸福度の関係:正と負の両面
SNSの使用が幸福度に与える影響には、ポジティブな面とネガティブな面が存在します。Chae(2018)の研究では、InstagramやLinkedInの利用が社会的比較を通じて幸福感にプラスの影響を与えることが確認されていますが、Twitterの利用は逆に幸福感を減少させることが明らかになっています【Chae, 2018】。特に、LinkedInを頻繁に使うユーザーは、他者との比較によって幸福感が低下することが少なくなっています。
SNS依存と幸福度への悪影響
一方で、SNS依存が幸福度に悪影響を与えることも示されています。Zhang et al.(2022)の研究によれば、SNS依存は睡眠の質を悪化させ、特に若年層では運動頻度の低下が幸福度の低下に繋がることがわかっています。研究では、SNS依存が睡眠障害を引き起こすリスクを約3.7%増加させることが確認されています【Zhang et al., 2022】。
偽りの幸福感に注意?
SNSでは、他人の成功や楽しそうな生活が見えるため、自分と比較してしまうことが多いです。Widari & Wulanyani(2023)の研究では、SNS上で表現される幸福感はしばしば偽りであり、それを見た人々が自分の生活に不満を感じやすくなることが報告されています【Widari & Wulanyani, 2023】。これは「偽りの幸福感」がSNS上に広がり、本当の幸福感とのギャップを感じやすくする要因となっています。
SNSと瞬間的な幸福感
SNSは瞬間的な幸福感をもたらすこともありますが、長期的な幸福度には悪影響を与えることがあります。Golbeck(2019)の研究によると、犬の可愛い写真や動画を見ることで、瞬間的に幸福感が大幅に向上したという結果が出ています。しかし、特定の政治的なコンテンツを見ることで、幸福感が急激に低下することも確認されています【Golbeck, 2019】。
SNSは幸福感を高めるか、単なる娯楽か?
SNSの利用が幸福感にどのように影響を与えるかは、個人の使い方によるところが大きいです。Graciyal & Viswam(2021)の研究によると、SNSを使って他人とつながり、感情的なサポートを得ることは幸福感を高める一方、過度にオンラインに依存することは逆に社会的機能を低下させる可能性があります【Graciyal & Viswam, 2021】。
SNSと比較による幸福感の低下
SNSでは、他人との比較が避けられないため、それが幸福感に悪影響を与えることがあります。Wirtz et al.(2020)の研究では、FacebookやInstagram、Twitterの利用が「他人は自分より幸せだ」と感じさせることで、全体的な幸福感を低下させることが示されています。特に、比較を行う頻度が高いほど、幸福度が20%も低下することが確認されています【Wirtz et al., 2020】。
結論:SNSは使い方次第で幸福度を左右する
SNSは適切に利用すれば、人とつながり、感情的なサポートを得る手段となり、幸福感を高めることができます。しかし、過度な利用や他人との比較によって、逆に幸福感を損なうリスクもあります。SNSを使用する際には、自分にとって何が本当に重要なのかを考え、バランスを保つことが大切です。