世界中で人々の食生活は大きく異なり、これが健康に与える影響も国ごとに異なります。今回は、各国の食習慣と健康への影響について、科学的データに基づいて詳しく解説します。数字を交えながら、どのような要因が健康を左右するのかを見ていきましょう!
1. ヨーロッパの変わりゆく食生活とその健康影響
ヨーロッパでは、移住者を含む一部の民族グループの食習慣が、より加工食品に偏る傾向が見られ、これが健康に悪影響を与えていることが報告されています。特に、若い世代で伝統的な健康的な食生活(果物、野菜、ナッツ、穀物など)が減少し、エネルギー密度の高い食品(脂肪、砂糖、塩を多く含む食品)が増加していることが懸念されています。この傾向は、特に南アジア系やアフリカ系カリブ人、メキシコ系の移住者に多く見られ、これにより肥満、心血管疾患、糖尿病、高血圧のリスクが高まっていることが確認されています【Gilbert & Khokhar, 2008】。
2. 北欧諸国のティーンエイジャーの食生活と健康
北欧の若者に関する調査では、不規則な食事パターンが見られ、多くのティーンエイジャーが朝食や学校の昼食を抜き、夕食だけを摂取する傾向にあることがわかりました。スナックや軽食が全体のエネルギー摂取量の25〜35%を占めており、食事全体のバランスが崩れがちです。また、フィンランドやスウェーデンでは、カルシウムの摂取量が高い一方で、食物繊維やビタミンD、鉄分の摂取が不十分であることが指摘されています【Samuelson, 2000】。
3. 低中所得国の食習慣の問題点
低中所得国の青少年に関する調査では、ジャンクフードや炭酸飲料の摂取、果物や野菜の摂取不足が深刻な問題として挙げられています。例えば、タイではファストフードの摂取率が80%に達しており、ネパールでは果物や野菜の摂取率がわずか45.9%に過ぎません。このような不健康な食習慣が、将来的に肥満や糖尿病などのリスクを高める可能性が示唆されています【Fan & Zhang, 2020】。
4. グローバルな食生活の質と健康リスク
1990年から2010年の間に行われた調査では、世界中で健康的な食材(果物、野菜、ナッツ、穀物など)の消費が2.2ポイント改善した一方で、不健康な食品(加工肉、砂糖、脂肪など)の消費が−2.5ポイント悪化していることがわかりました。特に高所得国では、健康的な食品の消費が向上しているものの、不健康な食品の消費も増えており、非伝染性疾患(NCD)のリスクが上昇しています【Imamura et al., 2015】。
5. ヨーロッパの学生の健康的な食生活
ヨーロッパの21カ国で行われた調査によると、健康的な食習慣を実践する学生の割合は非常に低く、性別や体重、ダイエットの有無、栄養に関する知識が健康的な食習慣を持つかどうかに大きな影響を与えていることが確認されています。この研究では、食事の習慣を改善するためには、教育や健康的な食生活への認識を高める必要があることが強調されています【Wardle et al., 1997】。
6. 低中所得国における「栄養転換」とその影響
低中所得国では、経済発展とともに伝統的な食生活が変わり、脂肪や砂糖を多く含むエネルギー密度の高い食品の消費が増加しています。この「栄養転換」は、肥満や2型糖尿病、心血管疾患の増加につながり、従来の栄養不足と合わせて「二重の栄養負荷」を引き起こしています【Shetty, 2013】。
結論:食生活の違いが健康に大きな影響を与える!
各国の食習慣には大きな違いがあり、その違いが健康リスクに直結しています。健康を維持するためには、伝統的な健康的食生活を維持し、加工食品やエネルギー密度の高い食品の摂取を控えることが重要です。