FPS(ファーストパーソンシューティング)ゲームは、スピード感あふれるアクションと複雑な操作が特徴的なジャンルです。「FPSは健康に悪い」なんて言われることもありますが、実際には脳や認知機能にプラスの影響を与える可能性があるんです。今回は、FPSが私たちに与える影響を、科学的なデータとともに詳しく解説していきます。
FPSは認知機能を向上させる?
FPSゲームは、視覚的な処理能力や認知機能を向上させる効果があるとされています。Colzato et al.(2013)の研究では、FPSプレイヤーはワーキングメモリ(作業記憶)の更新速度と正確さが非プレイヤーに比べて優れていることが確認されています。実験では、プレイヤーがタスクに素早く反応し、タスクに必要な情報をより柔軟に更新できることがわかっています【Colzato et al., 2013】。
FPSは反応速度を加速させる?
FPSゲームをプレイすると、反応速度が向上するというデータもあります。Seya et al.(2016)の研究によれば、FPSプレイヤーは視覚的な反応時間や視野の広さ、ワーキングメモリのタスクで優れたパフォーマンスを示しています。この研究では、FPSプレイヤーの反応時間が非プレイヤーよりも約20%速いことが報告されています【Seya et al., 2016】。
FPSは脳の柔軟性を高める?
FPSゲームは、脳の「認知的柔軟性」を高めることも示されています。Colzato et al.(2010)の研究では、FPSプレイヤーは、異なるタスクを切り替える「タスクスイッチング」能力が非プレイヤーに比べて高く、認知的な柔軟性が向上していることが確認されました。実際、FPSプレイヤーは非プレイヤーよりもスイッチコストが小さいことがわかっており、これは脳が異なる情報に素早く適応できる力を示しています【Colzato et al., 2010】。
視覚的な処理能力はどれくらい向上する?
FPSプレイヤーは、視覚的な処理能力にも優れています。Wu et al.(2012)の研究では、FPSを10時間プレイした後、視覚的な注意力が向上し、脳の神経プラスティシティが変化することが確認されています。この研究では、視覚的な選択的注意力が20%向上し、プレイヤーは不要な情報を無視して重要な情報に集中する能力が高まると報告されています【Wu et al., 2012】。
暴力的なFPSは脳にどのような影響を与える?
暴力的なFPSゲームが脳に与える影響についても多くの研究が行われています。Mathiak & Weber(2006)のfMRI研究では、暴力的なシーンを含むFPSをプレイ中、脳の前頭葉(行動の抑制や感情調整を担当)が活動を低下させることが確認されています。これにより、ゲームプレイ中の感情反応が抑制される可能性が示唆されています【Mathiak & Weber, 2006】。
FPSプレイヤーは感情処理に影響を受ける?
Montag et al.(2012)の研究では、FPSプレイヤーは負の感情刺激に対する脳の反応が低下していることが示されています。この研究によると、FPSプレイヤーは前頭葉の活性化が減少し、暴力的な画像に対する反応が抑制されていることが確認されました。これは、長期間の暴力的なゲームプレイが感情の処理方法に影響を与える可能性を示唆しています【Montag et al., 2012】。
結論:FPSは脳にプラスもマイナスも影響を与える
FPSゲームは、視覚的な処理能力や反応速度、認知的な柔軟性を向上させる一方で、感情処理や行動抑制には負の影響を与える可能性もあります。適度なプレイであれば、FPSは脳を鍛える効果的な手段となり得ますが、暴力的なシーンを含むゲームには注意が必要です。