よく歩く人は健康だと聞くと、自分も歩けば同じ結果になる気がします。でも、もともと元気だから歩ける人や、暮らしの条件が違う人もいるはずです。一緒に起きていることから、原因の向きを決める一歩には、まだ確かめるべきことが残っています。
相関は役立つ手がかりですが、原因の方向や別の要因を確かめる必要があります。観察研究をすべて無価値と見なすのでも、数字があれば因果だと決めるのでもなく、何を仮定すれば説明できるかを見えるようにする考え方を紹介します。
同じ関係に複数の説明がある
観察データの因果推論を解説した論文では、変数の関係を図で考え、統計的に調整する変数の種類によっては、かえって推定をゆがめる問題も説明されています【Rohrer(2018)】。
多くの条件を入れた分析なら必ず正確というわけではありません。仮にカフェ利用と作業量が関係したら、カフェが作業を増やしたのか、作業の多い人がカフェを選んだのか、裁量の大きい仕事が両方を増やしたのかを考えます。この例は架空であり、カフェの実際の効果を示すものではありません。
別の要因を図に置いてみる
因果図を研究に使う方法を解説した論文では、交絡のない効果推定のために測定や調整が必要な変数を考える入口として、図を使うことが示されています【Greenland et al.(1999)】。
自分でニュースを読む場合も、主張される原因と結果を書き、その両方に関わりそうな条件を横に置くと、確認したい情報が見えます。専門的な図の計算を毎回行う必要はありません。対象者が違ったのか、もともとの状態が違ったのか、といった問いを作る用途から始められます。
観察研究でも因果の問いは必要
因果推論についての論考は、観察研究の目的が因果にある場合、それを曖昧な言葉で隠すより、因果の目的を明示することが問いや分析、解釈を改善すると論じています【Hernán(2018)】。
相関しかないから何も言えない、と反射的に終えることも十分ではありません。何を変えた時に何が変わると考えているのか、どの仮定に頼るのかを確認します。無作為化ができない研究でも知見は得られますが、その条件と不確実性を説明した推論が必要です。
納得できる筋道と証拠を分ける
因果的な思考のレビューは、人が仕組み、物語、頭の中のシミュレーションを使って原因を理解することを整理しています【Sloman et al.(2015)】。
もっともらしい説明ができたことだけで、原因が確かめられたわけではありません。提案を生活へ取り入れる前に、比較条件は何か、原因と結果の時間順序はどうか、別の説明をどこまで排除したかを見ます。結果が自分に当てはまる範囲も確認します。未確認の矢印を残すことは、考えるのを諦めるのではなく、追加で知るべき点を特定する作業です。
あわせて、人は数字と物語のどちらで動くのかと直感が当たる人と外れる人の差はセンスより環境にあるも読むと、今回の考え方を自分の生活に合わせて整理できます。
結論:原因の矢印を引く前に、別の説明を置く
関連は行動を考える手がかりになります。ただし「変えれば効く」と読む前に、逆向きの影響と、両方に関わる別の条件を一つ考えましょう。研究がそれをどう扱ったかを見ると、結論を急ぐ箇所が分かります。
気になる相関を見たら、逆向きの影響か、両方に関わる別の条件を一つ考えてみてください。その可能性を研究がどう扱ったかを確かめます。関係があるという発見を尊重しながら、行動を変えれば効果が出るという結論には一段階の確認を置くことが大切です。
参考文献
- Rohrer(2018) — Thinking Clearly About Correlations and Causation: Graphical Causal Models for Observational Data。
- Greenland et al.(1999) — Causal diagrams for epidemiologic research.。
- Hernán(2018) — The C-Word: Scientific Euphemisms Do Not Improve Causal Inference From Observational Data.。
- Sloman et al.(2015) — Causality in thought.。







