誰かが案を出すと、次の人も似た方向の案を出す。会議は盛り上がったのに、後で見ると選択肢がほとんど同じ。そんなときは、参加者の発想力だけを疑わなくてよさそうです。他人の案を聞く前に考える時間があったか、会議の順番を振り返ってみましょう。
研究から見えるのは、個人か会議かという二択より、発話の待ち時間、他者の案への注意、考える順番の違いです。案を作る段階と選ぶ段階を分けて、共有の刺激を使いながら一人で考える余地も残す方法を見てみましょう。
盛り上がりと生成した案の量を分ける
ブレインストーミングのメタ分析では、対話する集団は同じ人数の個人の案を合算した名義集団より、量や質で低い成績となる傾向がありました【Mullen et al.(1991)】。
会議に価値がないという結果ではありません。案を出す時間の比較であり、実際の採用や実行まで同じとは限らないのです。会議の成果を話しやすさだけで判断せず、重複を除いた案がどれだけあるか、異なる方向が出たかを見ます。一人で案を考える時間を確保する理由になります。
他者の話を待つ時間に何が起きるか
集団での案の生成を説明するモデルでは、発言の順番待ちが知識の活性化や案の産出を妨げる一方、他者の案が関連する知識を呼び出す働きも整理されています【Nijstad et al.(2006)】。
集団には損失と利点の両方があるのです。全員が同時に書ける時間を設け、その後に共有するのは実践への提案です。誰かが話している間に思いついた案を置いておけるよう、紙や共有欄を用意します。発言の上手さと案の良さを同じ基準で扱わないことも大切です。
最初の案は探索の方向を狭めることがある
他者の案を受け取る実験では、探索する領域が狭まり、他者が示した種類の案に寄る現象が見られました。ただし、この固定化は案の総数を減らすとはいえませんでした【Kohn et al.(2011)】。
数が多い会議でも方向が似通う可能性があります。最初に全員の案を出してから種類を分け、空いている方向を探すと、量だけでなく幅を確かめられます。強い立場の人の案を最初に出すかどうかも見直せます。案の評価を急がず、別の方向を探す時間を残します。
共有の後にもう一度個人へ戻る
書いて案を交換する実験では、他者の案に注意し、その後に考える機会を持つ条件で、共有群の案生成が改善しました【Paulus et al.(2000)】。
共有は必ず悪いという結論とは違います。個人で生成し、他者の案を読み、再び自分で考えるという順番を試せます。これはすべての会議で最適と証明された固定手順ではありません。最後に選ぶ時は、案の新しさと実行条件も確認します。生成した案が良い事業になるかは、ここで扱った実験だけでは決まりません。
あわせて、ひらめきは追い込み中より手を離した直後に起きやすいといい相談は『どうすればいいですか』だけで始まらないも読むと、今回の考え方を自分の生活に合わせて整理できます。
結論:話す前と共有後に、一人で考える時間を置く
他人の案は刺激にも、方向を狭めるきっかけにもなります。最初に一人で書き、共有した後でもう一度考える。発言の多さより案の方向の幅を見ると、会議の活気だけで成果を判断しにくくなります。
次のアイデア会議で、話し始める前の個人時間と、共有後に考え直す時間を設けてみてください。案の数だけでなく方向の幅も見ます。一人の集中と他者からの刺激を別々の段階で使うと、会議の盛り上がりを成果と取り違えにくくなります。
参考文献
- Mullen et al.(1991) — Productivity Loss in Brainstorming Groups: A Meta-Analytic Integration。
- Nijstad et al.(2006) — How the group affects the mind: a cognitive model of idea generation in groups.。
- Kohn et al.(2011) — Collaborative fixation: Effects of others’ ideas on brainstorming。
- Paulus et al.(2000) — Idea Generation in Groups: A Basis for Creativity in Organizations。







